言葉が口語でサラサラ流れているので、非常に読みやすい作品でした。
江戸時代の人形浄瑠璃の作者、近松半二が主人公なので、浄瑠璃・歌舞伎などの伝統芸能に興味を持っている人、創作活動を行っている人におすすめです。
浄瑠璃作家、近松半二が両親や幼馴染、ライバル作家、頑固な人形遣い、奥さんなどを交えながら最終的に「妹背山婦女庭訓」を完成させ大ヒットさせる物語になります。
私は作品作りをしているわけではないですが、半二は作家なので、創作のヒントになることが書かれているのが面白かったです。
たとえば、半二は浄瑠璃を書くとは、「この世もあの世も渾然となった渦のなかで、この人の世の凄まじさを詞章にしていく」と考えるようになります。現実と空想がごちゃまぜになっているところから、新しい作品が生まれるのです。
著者の大島真寿美さんは高校生の時から脚本を書いていたそうですが、小説家に転身されたそうです。どうりで文章がせりふなわけだ。逆に大島さんが書くドラマを見てみたくなりました。
ドラマが好きな女性にもおすすめです。